2026年2月02日

メリットと限界を歯科の視点で考える
歯科医院で治療を受けるとき、多くの方が「できるだけ歯を削りたくない」と感じます。
近年は「削らない治療」「なるべく削らない虫歯治療」という言葉を目にする機会も増え、歯に優しい治療として注目されるようになりました。
しかし結論から言うと、削らない治療はすべてのケースで最善とは限りません。
場合によっては、治療の選択を誤ることで再発や長期的なトラブルにつながることもあります。
この記事では、削らない治療とは何か、そのメリットと限界、そして本当に歯を大切にする治療とは何かを、一般歯科の視点から丁寧に解説します。
「削らない治療」とは何を意味しているのか
まず知っておきたいのは、「削らない治療」という言葉には医学的な明確な定義がないという点です。
多くの場合、この言葉は歯を一切削らないという意味ではなく、必要以上に削らない、健康な歯質を極力残すという考え方を指しています。
虫歯が非常に初期の段階であれば、削らずに経過を観察したり、進行を抑える管理を行うこともあります。
一方で、虫歯が進行している場合には、削らない治療は現実的ではありません。
つまり、削らない治療とは治療方法そのものというよりも、治療に対する姿勢や設計思想に近いものです。
なぜ歯は削らない方がいいと言われるのか
歯は一度削ると元に戻りません。
詰め物や被せ物で形を回復することはできますが、天然歯と同じ状態に再生することは不可能です。
歯を削ることによって、歯の寿命が短くなったり、再治療のたびに削る量が増えたりする可能性があります。
神経に近づけば、将来的に神経を取る治療が必要になることもあります。
こうした理由から、歯科治療では削らなくて済むなら削らないという考え方が大切にされています。
削らない治療のメリット
削らない治療が適切に行われた場合、いくつかのメリットがあります。
歯の健康な部分を多く残すことができるため、長期的に自分の歯を使える可能性が高まります。
治療範囲が小さく済むことで、痛みや違和感が少なく、治療時間も短くなる場合があります。
歯を削られることへの不安が軽減され、精神的な負担が少ない点も利点といえるでしょう。
削らない治療の限界と注意点
一方で、削らない治療には明確な限界があります。
すでに虫歯が内部まで進行している場合、削らずに治すことはできません。
削る量を減らすことを優先しすぎると、虫歯を完全に取りきれず、数年後に再発するリスクが高くなります。
また、修復物の厚みや強度が不足し、欠けやすくなったり噛み合わせに問題が出たりすることもあります。
削らない治療は、適応を見誤ると歯に優しいどころか、将来的な負担を増やしてしまうこともあるのです。
本当に歯に優しい治療とは何か
ここで考えたいのは、本当に歯に優しい治療とは何かという点です。
それは単に削らないことではありません。
虫歯の進行度を正確に診断し、削る必要があるかどうかを見極めること。
削る場合でも必要最小限にとどめ、再発しにくい形で治療を行うこと。
さらに、治療後の予防やメンテナンスまで含めて考えることが重要です。
削らない治療は、こうした総合的な治療設計の一部として位置づけられるべきものです。
削らない治療が向いているケース
削らない治療が有効なのは、ごく初期の虫歯など、歯の表面に変化が見られる程度の段階です。
この場合、定期的なチェックや生活習慣の改善、フッ素などによって進行を抑えられる可能性があります。
ただし、このようなケースでも定期的な経過観察が欠かせません。
放置してしまえば、削らない選択がかえって不利になることもあります。
削らない治療が向かないケース
虫歯がすでに内部まで進行している場合や、噛む力が強くかかる部位では、適切に削って治療する必要があります。
特に奥歯などは、強度を確保するためにも十分な治療設計が求められます。
このような場合、早めに必要な治療を行うことが、結果的に歯を長く守ることにつながります。
「削らない」と「予防」は別の考え方
削らない治療と予防は混同されがちですが、実際には別の概念です。
予防は虫歯や歯周病になる前にリスクを下げることを目的とします。
削らない治療は、すでに問題が生じた歯に対してどう対応するかという治療戦略です。
どれだけ予防に気をつけていても、虫歯ができてしまった場合には適切な治療判断が必要になります。
良い歯科医院を見極めるポイント
削らない治療を希望する場合でも、その言葉だけで医院を選ぶのはおすすめできません。
大切なのは、治療の選択肢を複数提示し、それぞれのメリットとリスクを丁寧に説明してくれるかどうかです。
また、治療後の将来像や再発リスク、予防の重要性まで説明してくれる歯科医院は、長期的な視点で歯を守る姿勢があるといえます。
まとめ
削らない治療は、歯を大切にするための有効な考え方の一つです。
しかし、それ自体が目的になるべきではありません。
歯の状態に応じて削るべきところは適切に削り、削らなくてよい部分は残す。
その判断を丁寧に行い、長期的な視点で治療を設計することこそが、本当に歯に優しい治療です。
歯科治療は、削るか削らないかという単純な基準ではなく、将来を見据えた総合的な判断が重要です。
渋谷おおの歯科・矯正歯科では、虫歯治療だけでなく、噛み合わせや予防まで含めた視点で治療計画を立てています。
渋谷で歯医者を探している方は、当院の考え方をまとめた親記事もぜひ参考にしてみてください。
