2025年10月03日

渋谷おおの歯科・矯正歯科 小児歯科ブログ
はじめに
「指しゃぶりがなかなかやめられない」「口をぽかんと開けている」「爪を噛むのがクセになっている」。
子育てをしていると、こんな姿をよく目にするのではないでしょうか。
実はこうしたクセは、専門的には「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」と呼ばれます。放っておくと歯並びや顎の育ち方、さらにはお顔のバランスや発音にまで影響してしまうことがあります。
渋谷おおの歯科・矯正歯科でも、「単なるクセだと思っていたけど、将来の歯並びにまで影響があるなんて」と驚かれる親御さんが少なくありません。
この記事では、子どもによく見られる口の癖にはどんなものがあるのか、それが成長にどう関わっていくのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
口腔習癖ってなに?
口腔習癖とは、口や舌、顎のまわりに関わる無意識のクセのことです。
小さな子どもにとって、指しゃぶりは安心するための自然な行動です。乳幼児のうちはほとんどの場合問題ありません。
けれども、4歳や5歳を過ぎても続いていると、歯並びがズレたり、顎の育ち方がいびつになったりすることがあります。つまり「小さい頃のかわいい仕草」だと見過ごしてしまうと、成長期に悪い影響を残してしまう可能性があるのです。
子どもによくある口の癖とその影響
一番よく見られるのは指しゃぶりです。小さい頃は自然な行動ですが、長く続くと前歯が前に出たり(いわゆる出っ歯)、上下の歯がきちんと噛み合わなくなることがあります。
次に多いのは、舌を前に押し出すクセです。飲み込むときやお話をするときに舌が前に出てしまうのが特徴で、続くと歯を押してしまい、前歯が開いて噛めなくなったり、発音が不明瞭になったりします。特に「サ行」や「タ行」が言いにくくなる子が多いです。
また、口を開けて息をする口呼吸も注意が必要です。本来は鼻で呼吸するのが正しいのですが、鼻づまりやアレルギーがきっかけで口呼吸が習慣になることがあります。これが定着すると、歯並びが狭くなったり顎の骨の成長が不十分になったりして、顔立ちにも影響します。例えば口元が前に出た印象になったり、表情が疲れて見えたりすることがあります。
爪を噛む、唇をかむといったクセもよくあります。これらは歯に余計な力がかかり、歯の表面がすり減ったり、歯が少しずつ動いて並びが悪くなる原因になります。
さらに頬杖も気をつけたいクセのひとつです。長時間、片側だけに力をかけてしまうことで顎の成長にゆがみが出て、顔のバランスが崩れることもあります。
年齢ごとに気をつけたいタイミング
口のクセは年齢によって意味が変わります。
0歳から2歳までは指しゃぶりは自然な安心行動で、基本的には心配はいりません。
3歳から4歳になると、まだ癖が残っていると歯並びに影響が出はじめる時期に入ります。
5歳から6歳になると、永久歯が生えてくる大事な時期になります。この時点でまだ口のクセが続いていると、歯並びや顎の発育に直接悪影響を及ぼします。
つまり、小学校に入る前に一度チェックしてあげるのが最も良いタイミングなのです。
親御さんが気づけるサイン
日常生活の中でも、お子さまの口の癖に気づくヒントはたくさんあります。
たとえば、いつも口が開いている、発音が不明瞭で特に「サ行」が言いにくそう、前歯がしっかりかみ合っていない、指にタコができている、机に向かうと頬杖をしていることが多い。
こうしたサインが見られる場合、口腔習癖が影響している可能性があります。
そのままでも大丈夫な癖と、注意が必要な癖
すべての癖がすぐに問題になるわけではありません。たとえば、2歳や3歳で自然にやめられる指しゃぶりは経過を見て大丈夫なことが多いです。
一方で、小学校に入っても残っている口呼吸や舌を押し出すクセは要注意です。こうした癖は歯並びや顎の発育に大きく関わってしまうため、早めの対応が必要です。
渋谷おおの歯科・矯正歯科でのサポート
当院では、まず生活習慣を詳しく聞き取り、写真やレントゲンで歯並びや顎の状態を確認します。
そのうえで、どのような癖があるかを一緒に確認し、改善のための方法を考えます。
具体的には、舌の使い方をトレーニングしたり、口のまわりの筋肉を遊びながら鍛えたりします。お子さまが楽しんで取り組める工夫を取り入れているので、トレーニングというより遊びの延長のように感じてもらえるのが特徴です。
必要に応じて、マウスピースのような装置を使ってサポートすることもあります。矯正治療と聞くと「痛い」「怖い」というイメージを持つ方もいますが、当院では子どもが安心して取り組めるよう、やさしい方法を重視しています。
癖を放置した場合のリスク
口の癖をそのままにしてしまうと、歯並びだけでなく、顔立ちや体全体のバランスにまで影響することがあります。
長く口呼吸をしていると、口元が前に出たような顔立ちになったり、姿勢が悪くなったりすることもあります。舌を押し出す癖が続けば、前歯の間に隙間ができて発音がはっきりせず、学校生活で困ることもあります。さらに、指しゃぶりや頬杖を長く続けていると、顎の骨が片側だけ育って顔がゆがんでしまう可能性もあるのです。
まとめ
子どもの口の癖は、小さいうちは自然な行動としてよく見られます。しかし、学齢期になっても残っていると、歯並びや顎の育ち方に悪影響を与えることがあります。
大事なのは「そのうち治るだろう」と放置しないことです。少しでも気になったら専門の小児歯科に相談することをおすすめします。
渋谷おおの歯科・矯正歯科では、お子さまが楽しく取り組める習癖改善のトレーニングや小児矯正を行っています。保護者の方と一緒に、お子さまの健やかな成長をしっかりサポートいたします。