2025年10月21日

― 渋谷おおの歯科・矯正歯科が考える「信頼できる治療」の基準
はじめに:インプラント選びは“モノ選び”ではなく“人と医院選び”
前編では、世界や日本の主要インプラントメーカーを比較しながら、なぜ価格が違うのかを解説しました。
インプラントの値段は材料費や輸入コストだけではなく、メーカーの思想、治療方針、そして医院の姿勢に深く関係しています。
後編ではさらに一歩踏み込み、「実際にどのブランドを選ぶべきか」「どんな医院が信頼できるのか」「安さに隠れたリスクをどう見抜くか」を、臨床現場での経験をもとにお話しします。
第一章:高級ブランドの“価格の理由”は、保証と信頼の裏付け
高級インプラントが高いのは、単にブランド名の価値ではありません。
最も大きな違いは、長期保証と世界共通のアフターケア体制にあります。
スイスのストローマン社は、世界70カ国以上で販売されており、インプラント体の破損や脱落に対して生涯保証制度を設けています。患者がどの国に移っても、ストローマンを扱う医院であれば無償で再提供を受けられる仕組みです。つまり、インプラントを“世界基準の製品”として保証しているのです。
ノーベル・バイオケアもまた、10年以上の長期保証を提供しており、世界共通の規格でパーツ供給を行っています。10年後に修理が必要になったとしても、互換性のある部品が確実に入手できるという安心感があります。
アストラテックも同様に、製品トレーサビリティ(追跡可能性)を徹底しており、製造から埋入までの全履歴が管理されています。
一方で、安価なメーカーでは保証期間が短く、1年や3年に限定されるケースも多く見られます。中には、並行輸入で仕入れた製品を使用しているため、メーカー保証そのものが適用されない場合もあります。表面上の「同じブランド名」でも、正規ルートと非正規ルートではまったく別物なのです。
高級インプラントの価格には、単に「長くもつ安心」だけでなく、「もしものときに守られる安心」が含まれています。
インプラントは外科手術であり、体の一部として何十年も使い続ける医療機器です。だからこそ、保証体制は“最後の保険”として非常に重要です。
第二章:渋谷おおの歯科・矯正歯科が採用しているブランドとその理由
当院では、患者さんの年齢、骨の質、噛み合わせ、審美的な希望、そして治療の目的に応じて、複数のブランドを適材適所で使い分けています。
ストローマンは、骨結合のスピードと安定性が高く、どんな症例にも対応できる万能型のブランドです。特に骨の質がやや柔らかい方や、治療後すぐに仮歯を入れたい方に向いています。治療の安全性を第一に考えるとき、当院ではストローマンを基準に判断することが多いです。
ノーベル・バイオケアは、審美性を最も重視する患者さんに適しています。前歯や笑ったときに見える部分の治療では、歯茎のラインや角度まで設計し、美しく自然な見た目を追求します。
このブランドの強みは、デジタル設計による補綴(かぶせ物)の精度にあります。渋谷という土地柄、ビジネスパーソンやモデル、アーティストなど、人前に出る仕事をされる方にも多く選ばれています。
京セラやGCといった国産メーカーは、日本人の骨質に最も適した安定型の設計で、噛む力や骨密度に合わせた調整がしやすいのが特徴です。再治療やメンテナンス時の部品供給も国内で完結するため、長期的な安心感があります。
特に60代以降の方や、持病があり海外メーカーの高額治療を避けたい方にとって、国産メーカーは非常に現実的な選択肢です。
オステムやデンティウムなどの韓国メーカーは、コストを抑えたい方や複数本の治療を希望する方におすすめする場合があります。これらの製品も年々品質が向上しており、適切に扱えば十分に機能を発揮します。ただし、正規ルートで仕入れた製品であること、そして適切な症例選択を行うことが前提です。
つまり当院では、「ブランドを売る」のではなく、「患者さんに最適なブランドを選ぶ」ことを重視しています。メーカーの知名度ではなく、患者さんの10年後を見据えて最善を選択すること。それが医療としての誠実さだと考えています。
第三章:価格よりも重要なのは“誰がどのように埋め込むか”
インプラントの成功率を左右する最大の要因は、メーカーよりも術者の経験と診断力です。
同じストローマンを使っても、骨の厚みや角度を誤って埋め込めば、ネジの一部が神経や上顎洞(副鼻腔)に近づいてしまうことがあります。これを避けるためには、CTによる立体的な診断と、ガイド手術による正確な位置決めが欠かせません。
渋谷おおの歯科・矯正歯科では、すべての症例でCT撮影と3Dシミュレーションを行い、患者さんにも画面上で手術計画を共有しています。
「どこに、どの角度で、どの長さのインプラントを埋めるのか」を明確に見える化することで、患者さん自身が安心して治療を受けられる環境を整えています。
また、当院では**マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)**を併用し、肉眼では見えない細部まで確認しながら手術を進めます。これにより、切開範囲を最小限に抑え、術後の腫れや痛みを軽減しています。
つまり、同じインプラントでも、医院によって「安全性」「精度」「回復の速さ」はまったく違うのです。材料よりも、“どう扱うか”が最も重要です。
第四章:メンテナンスと保証 ― 「入れて終わり」ではなく「育てていく治療」
インプラントは、一度入れたら一生もつものではありません。
どんなに高品質なブランドでも、手入れを怠れば周囲の歯茎が炎症を起こし、歯周病のように骨が溶けてしまうことがあります。これを「インプラント周囲炎」と呼びます。
当院では、手術後の半年・1年・2年の定期検診を必ず実施し、噛み合わせや清掃状態を確認しています。メンテナンスでは、専用のチタンブラシや超音波機器を使って歯石を除去し、必要に応じて咬合調整を行います。
また、噛み合わせは加齢や歯ぎしりで少しずつ変化します。放置するとインプラントに過剰な力がかかり、ネジの緩みや骨吸収の原因になります。
だからこそ、「定期的に点検し、調整していくこと」が、インプラントを長く保つ秘訣なのです。
保証制度についても、当院ではメーカー保証に加えて独自の院内保証を設けています。患者さんが「何かあってもここに相談すれば大丈夫」と思える安心感を最も大切にしています。
第五章:よくある質問と本音の回答
「安いインプラントと高いインプラント、見た目は同じなのに本当に違うの?」という質問をよく受けます。
確かに外見だけでは違いは分かりません。しかし、内部構造、チタンの純度、ネジの精度、表面の処理技術がまったく異なります。ストローマンやノーベルのような高級ブランドは、数ミクロン単位で加工されており、接合部分に細菌が侵入しない構造を持っています。一方で、安価なメーカーはこの精度が劣るため、時間が経つと微細な隙間から炎症が起こることもあります。
「韓国製のインプラントは危ないですか?」という質問も多いですが、必ずしも危険ではありません。問題は、正規ルートで仕入れた製品かどうか、そして術者がそのメーカーの特性を理解しているかどうかです。適切な症例に使えば、韓国製でも十分に良い結果を得られます。
「どのくらいもちますか?」という質問に対しては、メンテナンスをしっかり行えば10年以上は安定して使えます。実際に20年以上問題なく使用している方もいます。大切なのは“入れて終わり”にしないことです。
「保険は使えますか?」という質問もよくありますが、基本的にインプラントは自由診療です。ただし、外傷や腫瘍などで顎の骨を大きく失った場合には、医科との連携によって保険が適用されることもあります。
第六章:医院選びで失敗しないために
インプラントで失敗する多くの原因は、実は「医院選びの段階」で起きています。
カウンセリングが短く、説明が不十分なまま手術を勧められたり、価格ばかり強調されていたりする場合は要注意です。
信頼できる医院にはいくつかの共通点があります。まず、治療計画をCT画像で具体的に説明してくれること。次に、使用するメーカー名や保証期間を明確に提示してくれること。そして、手術後のメンテナンス体制が整っていることです。
渋谷おおの歯科・矯正歯科では、初診時にCT撮影を行い、インプラントが本当に必要かどうかから一緒に考えます。
必要ないと判断した場合は無理に勧めません。治療を“売る”のではなく、“適切な判断を提供する”ことこそ医療だと考えています。
第七章:まとめ ― 「価格」よりも「信頼」を選ぶという考え方
インプラント治療を成功させるために最も大切なのは、ブランドや値段ではなく、「どれだけ信頼できる医院とドクターに出会えるか」です。
安さを追いかけて医院を選んでも、再治療やトラブルになれば結果的に時間も費用も失われます。
渋谷おおの歯科・矯正歯科では、患者さんが“安心して10年後も噛める未来”を基準に治療を設計しています。メーカーの選定、診断、手術、メンテナンス、保証のすべてを自院で完結し、外部任せにしない体制をとっています。
私たちが目指すのは、単に「歯を入れる」ことではなく、「人生を取り戻す治療」です。
そのために、ブランドにこだわるのではなく、患者さん一人ひとりの生活に合った最適な方法を選ぶことをお約束します。
 
        
 
       
                           
                           
                           
                          